215。エリーゼ

{月の領域……数日後}

酒場にて……

「酒を追加だ、このクソアマ!」

がらの悪い酔った男が、目の前で無力に横たわる少女を蹴りつけながら怒鳴った。少女はとっさに腕を上げて身を守る。

「立て、このアマ!」蹴り。「なんで――」蹴り。「――俺の時間を――」蹴り。「――無駄にしやがる!」

少女は鼻や耳、唇から血を流しながら、くぐもった声を上げた。

「おいおい、ブラット。そんな風に蹴りつけてたら、世話なんかできるわけないだろう」別の男が、女をテーブルに押し付け、その胸を弄びながら言った。

「どの口が言うか」と粗野な男は吐き捨て、少女に視線を送った。「もっとやられたいか?」

少女は二度言われるまで...

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