244。私を責めるべきじゃない

パチパチと音を立てる暖炉の火が、部屋に暖かな光を投げかけていた。ヴァロレスは窓枠のそばに立ち、物思いに沈んでいる。

「それで、この国の謎めいた救世主とやらの正体は突き止められたのか?」背後の椅子に腰かけたダマリスが尋ねた。

ヴァロレスはうんざりしたように目を細めた。「調査などして何になる? 奴らはすでに我々に都合の良いことをしてくれているではないか。そんなことに時間を浪費する必要はない。それよりも、きたる集会に集中し、奴らの功績を我々のものだと主張すべきだ」

「しかし、ヴァロレス。それでも我々は最後まで見届けるべきです。王の書斎にあった巻物が紛失したことをお忘れなく。誰かがそれを盗み出し...

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