250。座っている王

現実じゃない。

これは現実じゃない。ヴァロレス、お前はただ幻覚を見ているだけだ。自室で眠りに落ちて、まだ目が覚めていないだけなのかもしれない。

また悪夢に過ぎない。

ダンカン・ソーンヴェイルが玉座になんか座っているはずがない。

彼の視線がサハラクに注がれる。その男はもう息をしていなかった。死んだのか?

その状態から察するに、ダンカンは彼が行方不明だった間、ずっと拷問を加えていたに違いない。

ヴァロレスは突如、自らの顔を平手打ちした。その音が、広大なホールに響き渡る。

「起きろ!」パンッ。「起きろッ!!」パンッ。「起きろ、クソがッ!!!」

彼は叫んだ。そして、叫び続けた。もはや...

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