253。静かな祈り

「レアル」

ライラは眉を上げた。

「わかったよ。おばさんのこと、応援してるから」

彼はそう言って窓を閉めた。

衛兵に向き直ると、ライラの笑みは消えていた。

「なぜはぐれ者がここに? ヴァリン長老はこの小山は立ち入り禁止で安全だと言っていたはずなのに」

「わ、分かりません、お嬢様。我々はいつも通り巡回を……すると、そいつが忌々しい影のように木から落ちてきたのです」彼は唾を吐き捨て、遠くの木々を睨んだ。「偵察かもしれません」

ライラの目が細められる。「偵察ということは、まだ来るわね」

別の衛兵が息を切らして現れた。「お嬢様、南の尾根からこちらへ向かう足跡を発見しました。新しいものです。...

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