26。ロスト・テイルズ

ブリジッドはドアに鍵をかけ、大きな古書を取り出すと、アリアナの隣に腰を下ろした。その本は上質な銀色の革で装丁されており、表紙にはタイトルが力強く記されていた。

『レルム物語』アリアナは声に出して読んだ。その言葉は、胸の中に奇妙な感覚をかき立てた。

「忘れられし時代の残響」ブリジッドは、その下に小さく書かれた副題を読んで付け加えた。「面白くなりそうね」

「もしセレーネに見つかったら、大変なことになるわ」アリアナは呟いた。

「だから楽しいんじゃない。あなたもすぐ慣れるわよ、友よ」ブリジッドはウィンクして、最初のページを開いた。「まずは私が読むわね」

アリアナは頷いた。その顔には小さな笑み...

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