35。真のアルファ娘

降り注ぐ月明かりと涼しい夜風の中、アリアンナはアトラスが話した子供の頃の冗談に微笑んだ。彼女が最後に笑ってから、しばらく経っていた。しかし、王のことが頭をよぎるたびに、その瞬間は台無しになった。

朝からずっとその調子だった――彼の顔、彼の言葉、彼の感触が、心の中を出たり入ったりしている。

時折、通路に目をやり、彼の姿をちらりとでも見かけないか、あるいは兵士が彼の来訪を告げる声が聞こえないかと期待してしまった。

用を足すという嘘をついて部屋を抜け出し、彼の部屋へと続く威圧的なほど大きな通路までこっそり近づき、中を覗き見さえした。

二人の兵士が入り口を守っており、彼の部屋の扉は外から鍵がか...

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