60。ウロボロスの番人

この宮殿に来て以来、アリアナは多くのことに衝撃を受けてきたが、これほど常軌を逸したことはなかった。

侍女頭のセレーネが、彼女を城塞の壁の外へとこっそり連れ出しているのだ。

この侍女頭は、アリアナが存在すら知らなかった通路を通り抜けていった。

セレーネの話では、この通路は何世紀も前にライカンが造ったもので、忘れ去られていたのだという。

アリアナにはもっと聞きたいことがあったが、セレーネが巨大な木まで彼女を導き、レバーを引くと、口を固く閉ざした。巨大な木の根が開き、地下の洞窟へと続く階段が現れたのだ。

「ついてきなさい」セレーネは松明に火を灯した。その炎は濃い闇を切り裂く温かな光を放つ。...

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