83。なんて馬鹿だ

カエルの手は荷造りをしながら微かに震え、呼吸は乱れていた。

冷酷非道なライカンの王の噂は耳にしていた。だが、マグナスのような屈強なアルファを震え上がらせ、血を流させ、自ら切り落とされた舌を喰らわせる様を目の当たりにするのは、まったくの別次元だった。

あの男は悪魔だ。

カエルの心はかき乱されていた――特に、その王が宿屋で会った男と同じ顔をしていたという事実によって。

まさか、奴だったとは!

あの目、あの顔――忘れられるはずがない。あの強さとオーラ……それは彼を恐怖のどん底へと突き落とした。

そして、晩餐会での王の話し方――あの言葉は、まるで自分に向けられているように感じられた。

だ...

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