93。クラウンの重さ

ヴァルキリーがルナの座から降ろされたことは、燎原の火のごとく王国中に広まり、かなりの騒ぎを引き起こしていた。人々は反発し、王が果たしてルナを戴き、世継ぎをもうける気があるのかと訝しんだ。

ライカンたちが狼人たちを自分たちの足元に置き続けるつもりなのではないか、と推測する者さえ現れ……ついには、新たな王を望むという囁きまでが聞かれるようになっていた。

噂は広まり、王の無能を非難した。

もちろん、ヴァルキリーがルナになることを支持していた者たちが、その炎を煽っていたのは言うまでもない。

王もそれは予想していたが、だからといって偽善者をルナとして選ぶつもりはなかった。

「アルファ・トーラン...

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