第116話終わった

胸がきゅっと締めつけられた。

俺はたやすく彼女を受け止めた。片腕を肩甲骨のあたりにしっかり差し入れて支え、もう一方の腕を腰へ弧を描くように回す。

髪が俺の腕の上にさらりとこぼれ、柔らかな毛先が手の甲の裏をくすぐった。

彼女は息を弾ませながら、俺を見上げている。

周囲では音楽が薄れていき、千の息が同時に呑まれたような静けさが広がった。

だが、聞こえるのは自分の心臓の奔流だけだった。

見えるのは彼女だけだった。

最後に、もう一度だけ視線が絡む。

彼女の眼差しは大きく見開かれ、探るようで――目を逸らす前に、俺の顔の細部まで一つ残らず記憶に刻みつけようとしているみたいだった。

そして...

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