第12章ある夢

ナリネ

最初に意識にのぼったのは、マットレスの柔らかさでも、リネンから漂うラベンダーの香りでもなかった。胸の奥のかすかな痛みだった。夜通し、痣のように私にまとわりついて離れなかった、あの痛み。

目を閉じたまま、これはまだ夢なのだと思い込もうとした。瞼を開けたなら、頭上にはひび割れた漆喰があって、歪んだ窓の隙間を風が口笛みたいに抜け、古い木の酸っぱい匂いが漂い、宿の主人が箒を床に打ちつける鈍い音が聞こえるはずだ、と。

けれど、そういうものは何ひとつ、私の感覚を襲わなかった。

恐る恐る瞼を持ち上げると、見知らぬ天井に陽だまりが溜まっていた。淡いクリーム色の天井に、蔦のように曲線を描く装飾が...

ログインして続きを読む