第15話拒絶されたライカンキング

サルギス視点

画面に映るその単語を、俺はじっと見つめた。

バナナ。

彼女が望めるものは他にいくらでもあった。城には、祖伝の香草で漬け込んだ肉もあれば、西方境界から取り寄せた菓子もある。蜂蜜漬けのドラゴンフルーツを混ぜ込んだ甘いクリームカスタードだってあるのに、彼女はバナナを所望したのだ。

唇の端に、ゆっくりと笑みが浮かぶ。

画面に打ち込まれた文字として、これほど馬鹿げていて、これほど美しいものを、俺は見たことがない。

彼女が「求めた」。それだけで、途方もない出来事だった。

「承知した」俺は呟き、すでに壁に埋め込まれた小さな端末へ手を伸ばしていた。掌で一度押すと、インターホンが起動...

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