第151話分裂した同盟

サルギス

俺はすぐには宮殿へ戻らなかった。

空が深いビロードの宵闇へと沈み、太陽が木々の向こうで血を流すように消えていく中、気づけば俺は車を走らせていた。行き先などない。ただ……称号と義務の重さから、少しでも遠ざかりたかった。低く柔らかなエンジン音だけを自分に許し、それが頭の奥で絶え間なく渦を巻く思考の律動に重なっていく。

宮殿は背後で遠い影絵になっていた。けれど、どういうわけか――彼女は、遠くならなかった。

ナリネの匂いが残っている。シートの革にも、シャツにも、肌にも、息をするたびにまとわりついた。今日の彼女には、彼女自身ですらもう存在していると知らなかったのではないかと思う顔があっ...

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