第18話本当に珍しい光景

ナリネ視点

彼がどれほど丁寧に、私の手についた血を拭っていくのかを、私は見つめていた。ぬくもりのある指先だった。過去に私を引きずり、殴り、押さえつけ、穢してきた数えきれない手とは違う。彼の手は違った。大きさだけではない。そこにある意図が、まるで違った。奪おうとしていないのだ。そしてそれが……言葉にできないほど、私を落ち着かなくさせた。

彼の手の中で、私の指がかすかに震えた。それでも引き抜こうとはしなかった。

空中に宙づりになった、あの忌まわしい数秒を思い返すと、震える息が漏れた。私は死を望んでいるのだと思っていた。宇宙が私に与えうる唯一の慈悲は、それしかないと信じていた。だが足場を失った...

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