第190話おびえた

「怯えきってた……」とハスミクがようやく呟いた。その言葉は、口に出すつもりなどなかったのに、勝手にこぼれ落ちたみたいだった。彼女は少し背を丸め、卓上を落ち着きなく目で追う。「あたしも一緒に行きたいけど……」膝の上でナプキンをねじりながら言いよどみ、「でも、これはあの二人の間のことだってわかってる」

「そうだね」止める間もなく、私は認めていた。真実は苦く、舌の上に居座ったままだ。磁器のカップに触れた指先が小刻みに震え、これ以上震えを晒す前に、とん、と鈍い音を立てて置く。「絆を夢見るのと……」喉がきゅっと縮むのを感じながら、私は囁いた。「夕食の席の真ん中で、それがいきなり襲いかかってくるのとは、...

ログインして続きを読む