第198章インベイジョン

 私はよろめきながら後ずさり、崩れていく世界に繋ぎとめてもらえるかのように、バルコニーの手すりを掴んだ。中庭には影がのたうち回り、長く伸び、蛇の潮のように石畳を這っていく。やがて宮殿の敷地は、生きているみたいな黒に息苦しいほど覆い尽くされた。

 胸を震えが強く掴み、肋骨に両手を押し当てた。まるで自分の暴れる心臓を檻に閉じ込められるかのように。けれど鼓動は、いっそう狂ったように速くなるばかりだった。

 悲鳴が――ああ、神々よ、悲鳴が。壁の向こう、街のほうから、途切れ途切れにかすかに反響してくる。静寂を裂くような恐怖の絶叫が刺さり、そして唐突すぎるほど急に途絶える。闇に呑み込まれてしまったみた...

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