第25章予期せぬキス

「ムーンリット・エトワール・ローズという」頭上から、彼の声が降ってきた。「世界のどこを探しても見つからない。何世紀ものあいだ、この庭だけで育てられてきたからだ。王家の大きな儀式には必ず使われる……番いの儀、戴冠式、後継の披露……それに葬礼の作法にさえ」

私は返事をしなかった。できなかった。意識の焦点は、ただ一点に縫い留められていた。

どれくらいそうしていたのだろう。ただ見つめていた。魅入られたまま。

やがて脚がつりはじめ、私は身体を押し上げて立ち上がった。筋を伸ばしながら、わずかに顔をしかめる。

そのとき、彼が見えた。サルギス。片方のビーズクッションに胡座をかき、まるでそこが自分の玉座...

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