第26章長く待ち望まれていた訪問

サルギス視点

彼女の鼓動がまた跳ね上がった。俺は反射的に彼女のほうへ向き直る。

――まずい。

彼女の目は焦点を失い、硝子のように遠かった。内側へ内側へと沈み込んでいくときの目だ。あの表情は知っている。これまで何度も、数え切れないほど見てきた。

彼女は唐突に立ち上がった。

俺も同時に立つ。腹の底に不安がふくらみ、彼女の動きをなぞるように。

俺、何か言ったか?

踏み込みすぎたか?

彼女はまた後退していた。脳裏に爪を立てて這い戻ってきた記憶から、逃げるみたいに。わかる。さっきまで少しずつ下げ始めた壁が、レンガを一つずつ積むように、また立ち上がっていくのが見える。

彼女は目を泳がせた。...

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