第38話想像したくなかった

サルギス視点

一秒ごとに、彼女が俺のそばにいないという事実が、正気を薄く一枚ずつ削り取っていった。

俺はまた部屋の端から端まで歩き回った。残り香が、ほろ苦い記憶みたいに肌へ絡みつく。天井まで届く窓が頭上にそびえ、淡い月光が冷えた石床へ落ちて、きらめく模様を描き出す。その光は、落ち着きなく動き続ける俺を嘲笑っているようだった。一歩ごとに足が重い。空気そのものが耐えがたい重さを帯びているみたいで、座る気になれない。思考は収まりのない嵐で、浅い呼吸をするたびに胸の空洞がいっそう疼き、瞬きの間にもさらに広がっていく気がした。

彼女はいない。その現実が俺の中に空白を刻み、部屋の静寂に反響していた。...

ログインして続きを読む