第49話過去からの楽しみ

ナリネ視点

寝室の扉が乱暴に蹴破られたような鈍い衝撃音が響き、銃声みたいに私を眠りから叩き起こした。

心臓が肋骨にぶつかる勢いで跳ねる。私は飛び起き、目の前がぐるりと回った。まず「何かあったんだ」と思った。けれど、戸口に立っていたのは――復讐の戦女神みたいに、彼女だった。

ハスミクは黒豹のようにゆったりと部屋へ入ってきた。動きはしなやかで優雅で、本人が自覚している通りの――いや、それ以上に――官能的な武器そのものだった。長い黒のコートが背中でひらりと翻り、腰は沈黙さえ敬意で縮こまらせるような気品を湛えて揺れる。その暗い瞳が、まっすぐ私を貫いた。

前のやり取りを思い出した瞬間、罪悪感が胸...

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