第58話生きたまま噛んで

サルギス視点

全身の本能が止めろと叫んでいるのに、彼女が大丈夫だと確かめてから、今朝は私たちの私室を出た。穏やかに上下する彼女の呼吸は、手を振って見送られてもなお、そこに留まっていたくなる子守歌だった。だが、いつものように責務が爪を立て、私を引きずり出す。

書斎に着く頃には、すでに報告書の山で息が詰まりそうだった。

魔女と吸血鬼どもが図に乗り、私の手がどこまで届くか試すように、外縁の領へじりじりと影を伸ばしている。そして宮殿の内側では、私があまりにも長く先送りにしてきた一つの問題をめぐって、廷臣たちが割れ始めていた。

ナリネの公の紹介。

いまや、単なる形式では済まない。一方には伝統主...

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