第67話欲しいものには気をつけて

ハスミクは一拍遅れて目を細めた。彼女も匂いを嗅ぎ取ったのだ。全身が強張る。

そして一言も発さぬまま歩調を上げ、ドアノブに手を伸ばすと、必要以上の力で扉を開け放った。

心臓が喉まで跳ね上がった。

何が目に入るのか、ある程度は覚悟していたつもりだった。だが、これは想像していなかった。

オニカがゆっくりと首を巡らせる。視線はまずハスミクに落ち、次いで私へ。目が合った瞬間、彼女の目も細くなった。怯みたくなかったわけじゃない。それでも、私は瞬きひとつせずに受け止めた。

「あら」彼女は口元をつり上げた。「お勉強デートの邪魔をしちゃった?」

私は固く唾を飲み込んだ。両脇で拳を握りしめる。ドレスの...

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