第68話哀れな彼の心

サルギス視点

オニカが出ていき、背後で扉がバタンと閉まった瞬間、俺は大きく息を吐いた。ついに――あいつは俺を壁際まで追い詰めたのだ。

そして最悪なのは、俺がこれを望んでいなかったことだ。少なくとも、本心からは。最近あいつを覆っていた狂気がいつか霧散して、正気に戻るのではないかと、俺はどこかで期待していた。妄想も、策謀も、魅力の衣をまとった毒も――それらが始まる前の、かつてのオニカを思い出してくれるのではないかと。だが、そのオニカはとっくにいなくなっていた。今はもう、はっきりわかる。

あの無言の芝居じみた真似に、俺は首を振った。ここまで堕ちることはないと、そう思っていた矢先だったのに。

俺...

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