第74章哀れな

サルギス視点

彼女がそんなに遠くまで行けたとは思っていなかった。

歩いて、だ。

狼が目覚めてもいないのに――けれど、なぜか彼女はやってのけた。

階段の付け根に辿り着いたころも、まだ彼女の匂いは濃く空気に残っていた。まるで、まだ放たれていない遠吠えの残響みたいに。

俺は彼らの横を黙って通り過ぎ、心臓の鼓動に繋がれているみたいに彼女を追った。

実際、繋がれていたのだ。彼らは何も問わず扉を開け、俺は宮殿の外へ踏み出した。

匂いを追えば追うほど、ある考えが胸の奥で確信へ変わっていく。――もしかして、彼女の狼は目覚めたのか? 人間の力だけで、この距離を走り切れるはずがない。

もしそうなら、胸に...

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