第85話私は彼の全世界だったように

告知から一週間後

ナリン

そろそろ騒ぎも落ち着いている頃だと思うでしょう。たった一週間も経てば、人々だって、きらきら光るものを紐につないでぶら下げたみたいに目を皿にして見つめるのをやめるはずだって。けれど違う。むしろ悪化している。誰も捨てようとしない腐った果物の臭いみたいに、その話題はどこにでもまとわりつく。私が静かにすり抜けようとするたび、廊下も通路も、全部がそれに感染しているみたいだ。

あの発表が拡散した瞬間から、世界は黙らない。

至高のアルファが伴侶を選ぶ。

その途端、誰も彼もが言いたいことを見つけた。彼のこと、そして自分が「彼女の立場」だったら何をするか。黒がどれほど似合うか...

ログインして続きを読む