第88章適切な場所を探す

ナリン視点

王国からの告示から二週間後。

王国の告示の重みは、煙のようにまだ空気の中に居座っていた。仮面舞踏会。次の王妃を探す狩り。噂。囁き。希望は広告できるのだと言わんばかりに、街じゅうに貼り散らされた、きらきらして馬鹿みたいなビラ。

最後の客が店を出ると、カフェの扉の上の鈴がちりん、と一度だけ鳴った。冷たい空気がその背中を追うように入り込み、首筋をくるりと撫でて、雨が叩きつける中で私は身震いする。やがて静寂が落ちた。エスプレッソマシンの低い唸りと、ユレンが札を「閉店」にひっくり返し、ブラインドを半分だけ下ろす音だけが残る。

私はここ十分ほど拭き続けている同じテーブルの前に立ち、布巾を...

ログインして続きを読む