第93話グランド・マスクド・ボール

ナリネ

舞踏会。

その言葉が、この数日ずっと頭の中を巡っていた。静かな時間や、息をひそめるような沈黙の合間にまで忍び込み、絡みつき、ほどけることなく居座り続けて。けれど、ついにその日が来た今、それは第二の鼓動みたいに肌の上に落ち着いた――しつこく、うるさく、無視などできないほどに。

目を開けた瞬間から感じていた。胃の底でじわじわと這い回る不安が、息をするたびに絡まり、締めつけてくる。ここ数週間、平気なふりをするためにどれほど力を注いできたか、そのこと自体がほとんど正気を削るほどだった。心の奥では、私の全部が震えていたのに。

今夜は未知への跳躍だ。それは、もう一度私を粉々にするかもしれな...

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