第二八章

「ライペリアンって、儀式かなにかでやるものじゃないの?」とトリニティが尋ねた。その表情から、彼女が私のために状況を整理しようとしてくれているのが分かった。

「ええ、まあね」私は肩をすくめた。「でも……カイランが伝統を重んじるタイプに見える?」

彼女は唇をきゅっと結んだ。「……見えないわね?」

その通り。私は答えなかったけれど、頭の中では考えがぐるぐると巡っていた。彼はそんなタイプとは程遠いし、名目上はもう私を自分のものだと宣言しているのに、どうして印をつけたくないんだろう?

最初は、そんなこと別に気にならなかった。印がないことについて色々と言われるのを聞いて、気になり始めたのかもしれないけれ...

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