第百九章

ヴァイオレット視点

状況報告を終えると、リードが戴冠式の衣装に着替えるため私を連れて行った。彼はそのこと自体に特に興奮しているわけではなかったが、私を着飾らせることには深くのめり込んでいるようだった。

「それってやりすぎじゃない? 計画では目立たないようにするんじゃなかったの。元使用人が戻ってきて、いきなり王家の色の服を着たりしないわ」と、彼が高価そうな緑のベルベットのドレス――毛皮付きで、見た瞬間に吐き気を催した一着――を持ってきたときに私は抗議した。

吸血鬼は自分たちの血の供給源である人間にさえ残酷なのだ。彼らの不倶戴天の敵である狼人間や他の毛皮を持つ動物たちに希望などあるは...

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