チャプター 12

「あ、あの……わ、王子。このメイドが怪我をしまして、皆が寝静まっているので、私が応急処置をしようと」男はそう嘘をつき、私の顔を隠すように前に立ちはだかった。

彼の体を通り抜けようともがくと、すぐさま疑問がいくつも頭に浮かんだ。だが、男は体重をかけて私を壁に押し付けた。

口も利けないのに、どうやって自分の身を守れというのだろう?

そもそも、王子が自分の手下より私のことなど信じてくれると、どうして思ってしまったのだろうか。

だから私はもがくのをやめ、ただ暗闇の中で横たわっていた。その間、彼らは明日開かれるパーティーについての会話を始めた。

「準備の進捗はどうだ?」

「万全です、王子。す...

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