第百八十二章

リード視点

精神を蝕んでいた陰湿な圧力が和らいだとき、俺たちは自分たちが何をしてしまったのかを悟った。恐怖とパニックが全身を浸した。

「一体、何が起こったんだ?」ルシアンが俺に囁いた。俺たち二人ともが、これが深刻な精神操作の仕業だと気づき始めていたが、彼はその事実を押し殺そうとしていた。

俺たちヴァンパイアは、他のどの種族も誇ることのできない特別な力に恵まれている。記憶を消す能力だ。だが、この状況の展開からすると、ヴラドはその力をさらに一歩進めたらしい。

自分の記憶が徐々に戻ってくるのが馬鹿馬鹿しく、俺たちが運命の相手に対してどれほど最低な振る舞いをしたかを思い知って、思わず顔をしかめた...

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