チャプター 185

敵の隠れ家に密かに侵入するという計画は、二つの理由で取りやめになった。一つは、クリードが敵の連中が誰にも気づかれずに出入りするために使う地下ルートを知っていたこと。そしてもう一つは、そのルートがまったく隠されていなかったことだ。

私はゾーイに入口の写真を送った。そこは木々が絡み合うように見えるが、そのまま車で突っ切ると、それがただの非常にリアルな幻影だったとわかるのだ。

あるいは、これもまた魔術の一種なのだろう。ただ、人を混乱させたり、まったく見当違いの方向へ飛ばしたりする類のものではない、というだけで。

忍び込む必要性を感じなかったもう一つの理由は、この頭上の王冠にあった。

ここに来...

ログインして続きを読む