ニコライ

嫌味な言葉を吐き捨てると、彼はさっさと自分のテーブルに戻り、教材をまとめ始めた。

気まずい静寂が空気を満たす。彼が俺に向ける苛立ちは、ヴァラー砦の司令官や兵士たちのものとは種類が違ったが、彼が何に腹を立てているのかは見当もつかなかった。

彼が俺の横を通り過ぎる。俺はすぐさまその後を追いかけ、気を取り直し、目的意識を新たにした。

「大尉」俺は呼びかけた。「あなたにお会いするよう指示を受けました。任務の件で――」

「断る」

「は? まだ何も聞いてないでしょう。それに、このファイルには俺の他にあなたの名前しか載っていない。俺は――」彼が素早く振り返り、俺はその場に釘付けになった。

「お前...

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