第二十三章

ルシアン視点

「出て行け!」

父が俺の『世話係』として寄越した女に、苛立ちを隠さずに言い放った。

「でも、あなた様」女は、自分では色っぽいつもりなのだろうが、今の俺には名状しがたいほど不快な、ねっとりとした口調で言った。「一晩中、あなた様のお世話をさせていただくことになっておりますの。追い出したりなさらないで」そう続ける女に、本気で殺意が湧いた。

もしこいつが人間なら、とうに殺している。だが、同族殺しは支配者として褒められた行いではない、ということになっている。

「数秒、目を閉じる。次に開けた時、この部屋に俺以外の者がいれば、惨殺する」

今起きているすべてに対する怒...

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