エレノア ²

誘拐されたことにも、一つだけ良いことがあった。両親はもう、私が逃げ出す危険人物だとは扱わなくなったのだ。むしろ、私の周りで彼らの方がそわそわするようになった。まるで間違った一歩を踏めば、私がまたどこかへ行ってしまうとでも言うかのように、慎重な態度で。

けれど、私が妊娠していると知った途端、雰囲気は一変した。

どういうわけか、両親は私の伴侶が誰なのかをすでに知っていた。そして、彼の父親が犯した恐ろしい悪事の数々が、私たちの日々の話題になった。

母に至っては、彼を拒絶しろとまで言い放つ始末だった。

私は、母が部屋を出ていくまで、憎悪と毒に満ちた罵詈雑言を浴びせ続けた。

だから私は、両親...

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