第四十章

ヴァイオレット視点

目が覚めたとき、状況を把握するのに……そして記憶を取り戻すのに、しばらく時間がかかった。

すべてが、まるでレンガで殴られたかのように一気に蘇ってきた。もう少しで逃げられたこと、おぞましい人間どもに汚らわしい手で体中を好き勝手に触られたこと、そして彼が二度も私を救ってくれたこと。

それから、彼に対する悪い考えをすべて吹き飛ばしてくれたあのキス。だというのに、彼はまるで私の方からキスをしたかのように振る舞い、私を拒絶することで、その悪い考えを一層強固なものにしたのだ。

そして、薬で眠らされた。

そのせいで、今こうして偏頭痛に苦しめられている。でも、もうここにい...