第四十九章

ヴァイオレット視点

荒々しい風の音に、私は虚無の眠りから目を覚ました。

ついさっきまで、私の意識はどこにもなかった。それが次の瞬間には、厚く、柔らかで心地よい雲の上に座り込んでいたのだ。

あたりを見回し、自分が浮かんでいる天球の美しさに息をのんだ。

最初は一人きりで、混乱し、そのすべてに圧倒されていた。だが、何かの音が聞こえたかと思うと、体が落下していくのを感じた。

「きゃあっ!」

恐怖に叫び声を上げたけれど、すぐに気づいた。落ちているんじゃない。どこか別の場所へ運ばれているんだ。

久しぶりに自由を感じて、恐怖はたちまち喜びに変わった。でも、なんだかおかしな気分だった。どうして「...

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