第五十三章

帰路は、なかなかに劇的なものだった。

「なぜ後ろに座っている？　飛行中に私を支えるのは誰の役目だと思っているんだ？」

王は、隣に座っていた私の方をちらりと見てから、弟に噛みついた。私たちは地上を飛び、窓の外には美しい地形が広がっていた。

「彼女を見張るのは誰の役目だと？」

「彼女なら大丈夫だ。狼が戻ったのだから、自分のことは自分でできる」

「その通りよ、リード」私は割って入った。実は、頭の中の大混乱に集中するために、一人の時間が欲しかったのだ。

彼の顔に浮かんだ傷ついた表情は隠しきれていなかったが、それについて罪悪感を抱くのは拒んだ。

道中ずっと、彼の気遣いが私を苛立たせていた。許...