チャプター 60

ライラの不吉な予言を無視して、私は温室へと足を踏み入れた。中はフェアリーライトで照らされ、幻想的な光を放っている。

「わあ……」思わず息をのむ。室内の庭園は、息をのむほど美しかった。「すごい……」

「ああ。母さんが昔の生活の面影を少しでもここに持ち込もうとしてたんだ。まあ、父さんが許す範囲で、だけどね。これが母さんに安らぎを与えてくれる唯一のものだった」彼はそう言いながら、私の手を取った。

何気ない仕草だったけれど、背筋にぞくりと震えが走った。

私を殺した彼への怒りがいつの間にか消えていた。そのせいで運命の相手と私の中の人狼に出会うという奇跡が起きたからか、あるいはあの状況では彼にどう...

ログインして続きを読む