第七十章

リード視点

突如として浴びせられた大量の情報に、俺の感覚は完全に麻痺していた。

母の死には何か裏があるのではないかと、そんな疑念は抱いていた。だが、それを深く掘り下げようとはしなかった。

そして今、その理由がわかった。

怖かったのだ。母が、彼女を愛するはずのたった一人の人間に殺されても仕方のない悪人だったと知ることが。一体どうすればそんな真似ができる?

ある瞬間には全身全霊で愛していながら、次の瞬間には相手が死に値すると判断するなんて。そんなこと、到底理解できなかった。だから、父にはそうするだけの正当な理由があったのだと信じる方が、ずっと楽だったのだ。

だが今となっては...

ログインして続きを読む