第七十六章

争いにはならなかった。

まるで私が何か伝染病にでもかかったかのように、誰もが振る舞い、私を遠巻きにしていた。

やがてジュリアンが階下に下りてきて、私の隣に腰を下ろした。

「俺を待たなかったな」彼は声を張り上げた。その口調は棘々しかったが、男らしく、場を支配していると誇示したいという必死さの裏で、彼が震えているのが私には感じ取れた。

いつもなら、群れの全員が見ている前で見下されるという無礼な態度を咎めるどころか、彼の機嫌を取ろうと必死になって屈していただろう。だが今の私は、完全に自分を取り戻していた。私は彼の目をまっすぐに見つめ返してから、口を開いた。

「あなたが手洗いに時間をかけすぎ...

ログインして続きを読む