第七十八章

ルシアン視点

我ながらひどい有様だ。

それに、さっさと戴冠式を執り行って、この王冠をリードに譲れる日が待ち遠しい。どう見ても、俺にこの役目は務まらない。

王冠を託されてから最初の一週間で、俺は民を二度も見捨てた。俺の心も魂も奪い去って逃げていった女の世話をするために。

「これ以上の確認は必要ない」バスルームから出てきたリードが言った。彼の胸の中央には、Vの文字がタトゥーとして大胆に彫られている。

「どうだろうな。お前の人生に、同じイニシャルの人間は誰もいないのか?」俺は尋ねた。今朝、自分の首にVの印を見つけたのを思い出す。だからこそ、今こうしてタートルネックのシャツを着ている...

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