第101章

不二雪枝は口をつぐみ、直樹と話す気にもなれなかった。

実際、これ以上の手はない。――仮にあったとしても、こいつに教える気なんてさらさらない。

車内の空気は重い。今夜の直樹には不二雪枝が必要だった。感情を引きずったまま氷室家へ行かせたくなくて、宥めるように口を開く。

「他に手があるかどうかなんて関係ない。とにかく動かなきゃ。だって爺さんの遺産は数百万や数千万じゃない、何十億だ。俺たちが取りにいかなきゃ、篠に全部さらわれる。会社だってもうあいつの手の中だろ? こっちだけ損するのは違う、そう思わないか?」

「この先、息子が海外留学するとかさ、金が要るだろ?」

「まさか息子に、俺たちと一緒...

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