第102章

篠は目の前のボディガードをにらみつけ、危うく笑いそうになった。

「先に何で、後に何よ?」

「先に来たほうが優先です」

二言目になると、男の声から勢いが消える。不二家で知らない者はいない。篠がいちばん可愛がられていることを。直樹なんて、せいぜいおこぼれにあずかってるだけの存在だ。

下手をすれば、そのおこぼれすら回ってこなくなる。お嬢様は、そう簡単に手を出していい相手じゃない。

篠はだんだん小さくなる声を聞き、鼻で笑った。

「もっと大きい声で言いなさいよ。私を止めるときは、ずいぶん威勢がよかったじゃない」

「お嬢様、俺たちも命令で動いてるだけで……」

「命令? 今ここで、あんたが...

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