第105章

悠は篠のその言葉を聞いて、くすりと笑った。

「鏡がないならさ、ションベンならあるだろ。ひと泡ひっかけて自分のツラでも映してみろ?」

篠はゆっくりと背筋を起こし、悠を見据える。視線は彼の顔から、腕の中の猫へと移った。

「氷室弁護士、その口、何年漬け込んだの? やけに味が染みてるじゃない」

「お前ん家のこの件、誰が担当しても直樹を選ぶ」

篠は腑に落ちない顔をした。「なんで? 私が払う金が少ないってこと?」 

悠は底の知れない笑みを浮かべる。

「お前が面倒くせぇ女だからだ」

「ニャオ――――」

篠が悠の脛を一発蹴ると、ラグドールが彼の膝からひょいと飛び降りた。

悠はそれを横目で...

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