第11章

悠が車に乗り込み、七海に目的地を告げた、その瞬間。

反対側のドアが乱暴に引き開けられた。

篠が土埃まみれのまま滑り込んできて、悠が状況を飲み込む暇もなく、ネクタイをつかんで唇を塞いだ。

七海「…………」

悠「…………」

身を引こうとした悠を、篠はシャツの襟をがっちりつかんで逃がさない。男に一ミリも動く隙を与えなかった。

七海は後部座席をぽかんと見つめた。あまりにも手慣れすぎている。いや、これは反則だろ。

やっぱり黒崎さんの言ったとおりだ。不二さんに落とせない男なんていない。

小悪魔が、鈍いくせに色気だけはある男にぶつかった。悠みたいな年上の堅物に、篠みたいな攻め気の塊が絡みつ...

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