第111章

「愛してる? 冗談言うな。恋愛ドラマの台本をあれだけ演じてきて、クズ男の頭の中も読めないわけ?」

行広睦子が容赦なく噛みつく。朝戸冬香は二人をくっつけたい。睦子は、引き離したい。

親友が体も心も騙されるなんて、絶対に許さない。悠みたいな腹黒い男、篠には手に負えない。

「行広さんは被害者ってこと?」

「違う。篠を被害者にしたくないだけ」

朝戸冬香はふっと笑い、顎に手を添えたまま睦子を見つめる。

「氷室様と結婚して被害者になるわけないじゃない。今の状況で、篠にそれ以上の選択肢がある?」

「氷室様が“それ以上”ってわけ?」睦子が言い返す。

「もちろん!」冬香は即答した。

睦子はど...

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