第15章

篠が家に戻ると、腰を下ろす間もなく梨乃から電話がかかってきた。

「明日の夜、帝都の名門の集まりがあるの。お母さまから伝言よ。時間どおりに出なさいって」

篠は蛇口をひねって手を洗う。

「父さんが死にかけてるってのに、あの人、そんなことやってる気分になれるわけ?」

「お母さまに聞けば?」

富裕層の思考回路なんて、彼女みたいな庶民に理解できるはずがない。

篠の母――奈央は、いかにもな上流夫人だった。

やり手かと言われれば、そこまではいかない。

じゃあ頭が悪いのかと言えば、そうでもない。

自分で外で稼ぐ力はゼロ。

その代わり、社交力だけは満点。

帝都では奈央について、こんなふう...

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