第42章

狭いエレベーターの中、篠の鼻で笑うような口調は、まるで蟻でも品定めしているみたいだった。

あの女が一言言えば、篠は一言で突っ返す。

悠は黙って聞いているだけ。けれど瞳の色は、じわじわと深く沈んでいく。

箱の中の空気が、どんどん息苦しくなる。

篠は、背中に刺さる視線を感じた。友好的とは程遠い、濃い査定の目。

スマホを握ったまま、ちらりと悠を見る。

エレベーターが31階で止まった、その瞬間――悠は腕で抱え込むようにして篠を引きずり出した。

篠は怒鳴り散らすつもりだったが、通話が切れていないと気づいて歯を食いしばる。第一令嬢がみっともない真似はできない。

きっちり通話を切ってから、...

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