第66章

「どういう意味?」

「私に怒鳴ってんの?」

「氷室弁護士ってほんと器用だよね。私をプールに突き落としておいて、罪悪感の埋め合わせにわざわざ撮影所まで迎えに来たくせに。で、家に入った途端、怒鳴るわけ? 何がしたいの?」

「会いたくないなら迎えに来なきゃいいじゃん。しかも自分の部屋で寝ろって。悠、あんたってドMなの?」

「……私、篠に何かした?」篠の堪忍袋の緒が切れた。

悠の怒りの出どころなんて知ったこっちゃない。篠は手にしていた薬入りのコップを床へ叩きつけた。

ガシャン、と乾いた破裂音。

中川自由がびくっと肩を跳ねる。

それでも、篠がコップを投げた方向を見て胸がじんわり温かくな...

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